ネコと和解せよ

小規模太陽光発電機の製作費

小規模太陽光発電機の製作要件をまとめて、費用を計算してみました。元々2万円位で仕上げる予定でしたが、少し?オーバーしてしまいました。でも3万円あれば、確実に作れそうです。

製作する装置の要件

製作する装置の要件です。その辺にある適当な材料で組み立てられて、数年は使える物を目指しました。

  1. パネル以外の制御装置は室内に据え置き。
  2. 集合住宅に設置できる大きさ。
  3. 雨天対応は2日以上。
  4. 小電力機器(LED照明、携帯充電、iPad等)のみを対象にする。大電力機器(掃除機とか電子レンジとか)は動かさない。
  5. 出力はシガーソケットやUSBソケットから供給。(最近は携帯電話充電機やUSB変換器が安価に売られているので、それらを未加工で使用。)
  6. 出来るだけ安く。
  7. 材料加工はできるだけしない。
  8. 数年間は使えること。

装置の仕様

要件を元に、装置の仕様を決めます。
小電力相手なので、最大入力電力、最大出力電力は、60Wまでに対応するように設計しました。夏の計画停電向けに、少しだけバッテリ容量を大きくしました。

値名 備考
システム電圧 12V 10.5V〜13V
蓄電容量 20Ah以上 鉛シールバッテリー(22Ahを使用)
充放電制御 市販コントローラ(SA-MN05)
最大解放電圧 25V コントローラ依存
最大入力電流 7A(5A) コントローラの制約で5Aに制限
最大出力電流 7A(5A) コントローラの制約で5Aに制限
最大放電容量(1日) 10Ah以上 50%放電時。バッテリは2年くらい持たせたいので、放電量は50%未満にします。
最大電力容量(1日) 120Wh以上(12V×10Ah)

発電性能の計算

太陽電池の発電量と装置の仕様から、1日当たりの最大供給量を計算します。
太陽電池は動作電流が0.3A以上4A以下で、動作電圧が15V以上25V未満のパネル(装置の仕様以内)なら、何でも良いです。(使用可能な電力は変化します。)
手持ちのパネル(動作電圧 16V動作電流 0.7A)の場合の発電性能は、以下のようになりました。

値名 備考
太陽電池の動作電圧 16V
太陽電池の動作電流 0.7A
太陽電池の発電電力 11.2W
充電容量(1日) 2.94Ah(6時間×0.7A×70%) PWM制御のコントローラの場合、効率は約70%。MPPT制御の場合は、85%くらいに効率が上がります
供給電力(1日) 35.28Wh(2.97Ah*12V)
無充電許容日数 7.5日(22Ah/2.9Ah) 満充電状態状態で発電が停止した時(雨天時等)に、使用可能な期間


もし一日当たりの供給電力量を上げるなら、太陽電池パネルの出力を高くすればOKです。でも、充電時間(h)=バッテリ容量(Ah)/太陽電池の動作電流(A)が、4(h)未満にならないように注意してください。バッテリの劣化が進みます。また、無充電許容日数を増やすには、バッテリ容量を増やせばよいのですが、増やしすぎると材料費が高くつきます。(2〜10日が適当です。)

このクラス(11W程度)のパネルなら、バッテリーの容量を半分にして、材料費を削るのもアリです。(半分にした場合は、装置の最大電力容量のみが半分になります。)

配線図

そのうち書く。

素材集め

素材は、百円均一、ホームセンター、秋葉原、Amazon、リサイクルショップから集めます。

  • 百円均一は、細かい日用品パーツ、一部の電装品(携帯充電ケーブルなど)、充電装置本体のフレーム、格安工具等が手に入ります。
  • ホームセンターは、配線材、屋外配線用の素材、プラスチック板、エアコンダクト工事用の部品、そこそこまともな工具が手に入ります。
  • 秋葉原は、特殊な電子パーツ、ケースなどが手に入ります。
  • Amazonは、市販のカー用品や、USB機器が手に入ります。
  • リサイクルショップは、パネルの架台に使うラックを入手できます。ベランダにおける丁度いいサイズの台を、1000円〜2000円位で探してみましょう。


太陽電池パネルだけは、確実な格安品の入手方法がありません。ヤフオクや楽天等で、10W〜20Wのものを、5000円〜10000円で手に入れるのが良いと思います。稀に中古のパネルが格安で出ている(50Wとか凄いのがあります)ので、その辺を手に入れるのもありです。50W以上の大型のパネルを入手するときは、解放電圧と動作電流に十分注意してください。

引き込み設備の素材

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屋外のパネルと制御盤を接続する為に使います。基本的には、エアコンダクトの隙間を使います。

部品名 数量 価格 用途 入手場所
VCTF電線 0.75sq 10m 1000円(100円/m) 屋外のパネルと制御盤の接続用。(設置場所に応じて長くしてください。6畳の部屋なら大体10mあれば十分です。) ホームセンター or 秋葉原
ドレンホース 5m 450円(100円/m) エアコンの排水用ホースです。エアコンダクトに配線を通すために使います。 ホームセンター
エアコンパテ 1個 100円 エアコンダクトの埋め戻しに使います。ダクトの埋め戻し片面につき、1個必要です。 ホームセンター
コードフック 1パック 100円 屋内のケーブル固定に使用します。10個1パックで売ってるのを買ってきてください。 100円均一
結束バンド小 - - コードフックに配線を固定するために使います。 共通部品
結束バンド大 - - 屋外のエアコン配管と、ケーブル用のホースを固定するために使います。 共通部品

引き込み設備 合計 ¥1650-

制御盤の素材

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制御盤は、1.本体フレーム、2.端子台、3.スイッチ、4.充放電コントローラを組み合わせて作ります。
充放電コントローラは既製品を使います。自作できる方は自作してもかまいませんが、買った方が多分安いです。

本体フレーム
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バッテリや配電盤を固定する箱です。メッシュパネルで作りますが、他の入れ物でもかまいません。

部品名 数量 価格 用途 入手場所
メッシュパネル 7枚 700円(100円/枚) 30cm以上の正方形のものを買ってください。立方体を作る為の6枚と、1枚は配電盤の材料。 100円均一
結束バンド小 - - フレームの組み立てに使います。 共通部品

合計 ¥700-

端子台

太陽電池とスイッチ類を繋ぐための台です。適当な板きれに端子台を固定して作ります。
入力端子2系統と、出力端子3系統です。(最低1系統づつまで削ってもかまいません。)

回路図

部品名 数量 価格 用途 入手場所
アクリル板、又は木の板 1枚 600円 15×20。厚さはアクリル板なら2mm、木なら5mm以上(厚すぎると穴開けが大変なのでほどほどに。)100円均一で売っている適当なまな板でもかまいませんが、60度以上の温度に耐えられる素材を使ってください。 ホームセンター or 百円均一
端子台(2列4極) 1個 400円位 こんな感じの。http://www.marutsu.co.jp/shohin_6308/ 秋葉原
端子台(2列6極) 1個 600円位 こんな感じの。http://www.marutsu.co.jp/shohin_6309/ 秋葉原
小ねじ 3mmセット(3cmくらい) - - 端子台の固定に使います。 共通部品
0.75sq電線 5mくらい 100円 配電盤の配線に使います。 共通部品
シガープラグ分岐器 1個 500円前後 分解して、シガープラグ出力端子にします。こんな形の商品で。Amazon.co.jp: ヤック(YAC) リングライトソケット トリプル PZ-364: カー&バイク用品 Amazon

合計 ¥2200-

スイッチ箱
2系統のヒューズ付きスイッチ箱を作ります。適当なケースに、10Aのヒューズホルダ2個と、スイッチ2個を実装して、負荷切断、入力切替器をつくります。入力が二系統あるのは、計画停電向けに外部給電装置を接続するためです。ターミナルブロックを使用せずに直配線もできますが、あると保守性が良くなります。

回路図

部品名 数量 価格 用途 入手場所
適当なケース 1個 500円 ケースではなく、板きれでもOKです。ケースは100円均一で売っている適当な弁当箱や、ポリプロピレン製のまな板も利用できますが、60度以上の温度に耐えられる素材を使ってください。 秋葉原 or 百円均一
三端子スイッチ 1個 200円 入力切り替え用スイッチ 秋葉原
二端子スイッチ 1個 200円 出力スイッチ 秋葉原
ヒューズホルダ 10A 2個 200円(100円/個)スイッチケースに実装するなら、http://www.marutsu.co.jp/shohin_5773/を2個。 板きれに実装するなら、http://www.marutsu.co.jp/shohin_3448/ を1個 秋葉原
ヒューズ 5A 2本 100円(100円/2個) ヒューズホルダとサイズを合わせる事!4本買っておくと安心。 ホームセンター or 秋葉原
ターミナルブロック 2P 1個 100円 こんな感じのです。http://www.marutsu.co.jp/shohin_62241/ 秋葉原
ターミナルブロック 3P 1個 100円 こんな感じのです。http://www.marutsu.co.jp/shohin_62242/ 秋葉原
基板 1枚 - ターミナルブロック実装用です。 共通部品
小ねじ 3mmセット(3cmくらい) - - ターミナルブロックを板に固定するために使います。 共通部品

合計 ¥1400-
※工夫すればもっと安く作れます。

充放電コントローラ

充放電コントローラは、電菱のSA-MN05[title:http://www.denryo.com/solar_controller/charge_discharge/sa-mini.html]を使います。
最安値は、秋葉原の計測機ワールド【通販特価のホーム】特価・格安のネット通販の日本電計「計測器ワールド」で4900円でした。

このコントローラは消費電力が極めて少ない(1mA)なので、少ない発電量の太陽電池(10W未満)を使うときには有利です。
それ以上の出力のあるパネルの場合は、MPPT制御のコントローラの方が良いかもしれません。

制御盤 合計 ¥9280-

バッテリー

バッテリーと、接続配線です。
安全のため、バッテリーのプラス極端子から2cm以内に、ヒューズホルダを挟むようにします。

部品名 数量 価格 用途 入手場所
圧着端子 取付ネジ穴径:5.3mm 4個(予備2個) 100円 バッテリとの結線用 秋葉原 or ホームセンター
0.75sq以上の電線 60cmくらい - バッテリとの結線用 共通部品
ヒューズホルダ 10A 100円 バッテリーと 秋葉原
ヒューズ 10A 100円 ヒューズホルダと同じサイズを選ぶこと。 秋葉原 or ホームセンター
バッテリー 1 4800円 蓄電池本体です。秋月電子でこのへんhttp://akizukidenshi.com/catalog/g/gB-00020/買ってください。 秋葉原 or 通販
圧着端子 4(予備2個) 100円 22Ahの物ならφ5±0.5のもので合います。他のバッテリを使う場合は、それらの端子に合せてください。 秋葉原 or ホームセンター

バッテリー 合計 ¥5200-

共通部品

その他、組み立てに必要な部品類です。

部品名 数量 価格 用途 入手場所
熱収縮チューブ 5φ 1m 100円 圧着端子の保護材です。 秋葉原
熱収縮チューブ 3φ 1m 100円 圧着端子の保護材です。 秋葉原
屋外用両面テープ 1個 100円 何かと便利 百円均一
圧着端子(3.5mm) 1ケース 500円 配線に使います。100個入りのを1ケース買っておくと安心です。 秋葉原 or ホームセンター
秋月基板 10枚 600円 何かと便利な秋月基盤。端子台の配線などに使います 秋葉原
小ねじ 3mmセット(3cmくらい) 1パック 500円位 端子台の固定に使います。50セットくらい入ったのを買ってきてください。 ホームセンター
結束バンド小 1袋 100円 コードフックに配線を固定するために使います。 100円均一
結束バンド大 1袋 100円 屋外のエアコン配管と、ケーブル用のホースを固定するために使います。 100円均一
0.75sq以上の電線 3mくらい 100円 新品の線材は高いので、よくあるPCの電源ケーブル分解して取り出します。100円位で転がってるジャンク品を探してください。 秋葉原

共通部品 合計 ¥2200-

素材代の合計

素材の合計は、¥1650(引き込み設備)+¥9280(制御盤)+¥5200(バッテリー)+¥2200(共通部品)=¥18330
¥18330円でした。結構高いですね。
これに、架台の1000円と、太陽電池代の5000円を追加するので、25000円位になりそうです。

バッテリの容量を半分にすれば、-2000円です。
コントローラを充電制御のみにすると、さらに-4000円できます。でも放電制御をしないと、過放電制御ができないので、お勧めしません。
充放電コントローラは、輸入モノを漁れば、3000円位のものもあるのですが…。輸入がうまくいったら、またレポート書きます。

太陽電池は、ヤフーオークションや中古品を漁ると、10〜20Wのモノが5000円くらいで手に入ります。たまーに50Wクラスのが5000円で売っていたりするので、チェックしてみましょう。

その他工具

使いそうな工具です。持っていなければ、揃えておきましょう。

部品名 数量 入手場所
穴開け用のキリ 100円 百円均一
ドライバー 100円 百円均一
ドライバーセット 100円 百円均一
安物圧着工具 1000円 ホームセンター or 秋葉原
半田ごて 1000円 ホームセンター or 秋葉原
半田 300円 ホームセンター or 秋葉原

安物の圧着工具はそれなりです。

まとめ

25000円あれば、とりあえず設備は作れそうです。工具から揃えても、30000円あれば作れます。

この手の工作は、工作技術より、素材集めの方が難しい気もします。素材さえ集まれば、組み立ては割と簡単です。(電気部品はヒューズとスイッチしかないし。)

バッテリは後から増設できないので、長年使うなら少し大きめの物を用意した方がいいと思います。逆に、太陽電池は後から増設できるので、まず10Wくらいのパネルを3000円位で買って、徐々にパワーアップさせるのも面白いと思います。

使えそうな市販品

この辺の市販品が使いやすそうですよ。